2019-09

日本映画

『宮本から君へ』 宮本みたいに生きてみたらどうだ

感情的で暑苦しく、空気を読むことのない愚直な宮本浩(池松壮亮)は、いつも周囲を巻き込んで失敗を繰り返している。しかし、今度の闘いばかりは負けるわけにはいかないものだった。 汗と涙と血を巻き散らしながら絶叫する宮本の熱量に圧倒される2時間。もちろん本作は「ちょっとは宮本みたいに生きてみたらどうだ」と挑発しているのだ。
外国映画

『月影の下で』 ターゲットは思想そのもの?

9/27よりNetflixにて配信中。 1988年のある夜、フィラデルフィアで3人が鼻や目から血を流して死ぬ。警官トーマス(ボイド・ホルブルック)がその遺体を調べると、被害者は脳が溶けて流れ出しているような状態だった。トーマスは犯人を追い詰め殺してしまうのだが、その9年後再び似たような遺体が見つかることになり……。
外国映画

『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』 双方向型の映画

先日、エミー賞のテレビ映画部門・作品賞を受賞したと話題になったNetflix作品。 画期的なのは劇中に選択肢が登場し、視聴者(観客)はそのどちらかを選ぶことでその後の展開が変化していくところ。Netflixというネット配信サービスだからこそできた実験的な作品となっている。
日本映画

『見えない目撃者』 大胆なリメイク

「見えない目撃者」という言葉自体がほとんど語義矛盾とも言える。事件をその目で確認したからこそ目撃者と言えるわけで、目の見えないなつめ(吉岡里帆)が目撃者となれるのだろうか?
外国映画

『アド・アストラ』 宇宙の果てで見つけたもの

監督は『リトル・オデッサ』などのジェームズ・グレイ。 宇宙飛行士のロイ・マクブライド(ブラット・ピット)は死んだと思われていた父親を探しに海王星まで旅をすることに。そこでロイが見つけたのは何だっだのか?
外国映画

『SHADOW/影武者』 チャン・イーモウの武侠物では一番の出来?

『HERO』や『LOVERS』などのチャン・イーモウの最新作。 沛国を舞台に、王と都督(ナンバー2)と都督の影武者、この三者のせめぎ合いを描く。圧倒的なのがそのビジュアルで、水墨画のような黒と白による画が見どころ。傘をモデルとした武器など妙なアイテムもあってなかなかのエンターテインメント作品となっている。
日本映画

『ある船頭の話』 異物としての人間

オダギリジョーの初の長編監督作品。 船頭のトイチ(柄本明)は川辺の小屋に寝泊まりしながら、その川で渡しをしている。ある日の夕暮れ時、船を漕いでいたトイチは、川を流れてきた何かにぶつかりバランスを崩す。流れてきたのは瀕死の少女だった。
日本映画

『タロウのバカ』 飛ぶと落ちるとき……死ぬ

タロウという名前は、エージとスギオがつけてくれたもの。「名前のない奴はみんなタロウだ」という理由でタロウとなった少年は、学校にも行かずいつも荒川沿いの空き地でブラブラしている。ある日、拳銃を手にすることになったアウトサイダー三人はさらに羽目を外し……。
外国映画

『アス』 自分という存在に対する違和感

ある日、突然現れた自分たち家族とそっくりな4人組。彼らは一体何者なのか? ドッペルゲンガーを思わせる始まりだが、その後は彼らと主人公アデレードたちとの血みどろの闘いとなっていく。正体不明で言葉を発することもないドッペルゲンガーとの闘いは、ほとんどゾンビとの闘いにも見えるのだが……。
外国映画

『聖なる泉の少女』 何を伝承しているのか?

東京国際映画祭でコンペティション部門にノミネートされたジョージア(グルジア)映画。 舞台はジョージアの南西部の山深い村。そこには聖なる泉があり、それを守り続けている一家がいた。年老いた父がその儀礼を取り仕切っていたが、後継者となるはずのナーメ(マリスカ・ディアサミゼ)はもっと普通の生活がしたいと考えていた。
外国映画

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』 夢の世界の住人

クエンティン・タランティーノ監督の最新作。 「10作撮ったら引退する」と宣言しているタランティーノにとっての9本目の作品。 レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットが共演し、シャロン・テートが殺害された日について描く。1969年のハリウッドを再現し、タランティーノの映画愛があふれんばかりとなった作品。