外国映画

『未知への飛行』 失敗学は有効か?

『未知への飛行』は、1964年に公開されたシドニー・ルメット作品だが、同年には同じテーマの『博士の異常な愛情』があったせいで隠れてしまう形になった不遇な作品。 冷戦時代、機械の誤作動によってアメリカの爆撃機がモスクワへと核爆弾を投下する作戦が始動する。大統領はそれを止めるためにあり得ない決断をすることに……。
外国映画

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』 一石二鳥の離れ技

『レディ・バード』のグレタ・ガーウィグが監督を務めた、ベストセラー『若草物語』の再映画化。 本作が過去の『若草物語』と異なるのは、主人公ジョー(シアーシャ・ローナン)が『若草物語』を書き始める「現在」と、四人姉妹が揃って暮らしていた「過去」が交互に描かれていくところ。この構成がラストに活きてくるのが本作のうまいところ。
外国映画

『その手に触れるまで』 狂信の代償

カンヌ映画祭の常連、ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟の最新作。 アメッドはまだ幼さが残る少年なのに、イスラム教の導師に洗脳される形で、テロ行為を起こす。結局はそれは失敗に終わったのだが、アメッドは矯正施設に入れられても信念を変えようとはしない。母親や周囲の人たちは、アメッドの洗脳を解こうとするのだが……。
テレビドラマ

『ブレイキング・バッド』 公園なんてつくるだろうか?

評価の高さがギネスに認定されたテレビドラマ。 肺ガンで余命数年と宣告された高校教師ウォルターは、自分の化学の知識を利用して麻薬製造を始める。自分の為すことはすべて家族のためと語っていたウォルターだが……。 荒野にブリーフ一丁のおじさんが独りという出だしから、一気に引き込まれる。海外ドラマってやっぱりおもしろいのね。
外国映画

『罪と女王』 男女の間の非対称性

新型コロナによる自粛も解除され、久しぶりに映画館で映画を観ることが可能に。 本作はサンダンス映画祭で観客賞を受賞したデンマーク映画。アンネという男性に対して一歩も退くことのない女性が、自分の家に同居することになった夫の連れ子に手を出してしまう。大人の女性が未成年と関係を持つというのは明らかに犯罪なのだが……。
外国映画

『オフィーリア 奪われた王国』 女性を救え!

シェークスピアの傑作『ハムレット』を、オフィーリアの視点から描いた作品。Netflixオリジナル作品。 『ハムレット』におけるオフィーリアは、愛を誓っていたはずのハムレットから突き放され、父親を殺され、狂気に陥り死んでいく。それはあまりにも酷いんじゃないかというのが、製作陣の気持ちなのかもしれない。
外国映画

『最初で最後のキス』 迷わず行けよ、行けば分かるさ?

田舎の高校へと転校したロレンツォは、派手な服装ゆえに初日から「オカマ野郎」と罵られる。それでも「Born This Way」の歌詞のように、自分を肯定するロレンツォは自分を偽ることをしない。妄想癖のあるロレンツォが将来のスターを夢見て、クラスメートの前で踊りまくるシーンが楽しい。しかし、そんな青春も長くは続かず……。
日本映画

『メランコリック』 説教される東大卒の悲哀?

本作は新人監督による長編デビュー作で、『カメラを止めるな!』に続く作品として話題になったとか。 東大卒のニート和彦がバイトとして働くことになった銭湯は、実は「人を殺す場所」として使われていて、というあり得ない設定。裏稼業に巻き込まれる東大卒が、そのダメさ加減を金髪チャラ男(実は殺し屋)に説教されるところが妙におかしい。
テレビドラマ

『ヤング・ポープ 美しき異端児』 人間という矛盾した存在

2017年にジュード・ロウが主演したHBO製作のテレビドラマ。アメリカ出身で初めて教皇となったという架空のピウス13世の姿を描く(全10話)。 ピウス13世は尊大で怖いくらい自信に満ちた教皇だ。それでいて、人を愛すのは苦しくてつらいから、神を愛すのだと語る時には弱い部分も感じさせる。ジュード・ロウの祭服姿は必見。
テレビドラマ

『テセウスの船』 彼は昔の彼ならず

殺人犯の息子として日陰者として生きていた田村心は、タイムスリップして事件が起きる前の父親と会うことになる。そして、父親が犯罪とは縁遠い正義感に溢れた人間であったことを知る。心は父親の冤罪を晴らすために奔走する。今年の1月から放送され高視聴率を獲得したテレビドラマ。今さらだがParaviで配信中なので観てみることにした。
外国映画

『若者のすべて』 われわれが待望するもの

アラン・ドロンが『太陽がいっぱい』と同じ年に主役を務めた、ルキノ・ヴィスコンティ監督作品。 ドロンが演じるロッコはドストエフスキーが『白痴』で描いた「聖なる愚者」に連なるような存在だ。とにかく信じられないほどの善人であるロッコは、都会に来て堕落してしまった兄シモーネから散々酷い目に遭いつつも彼を見捨てないのだった。
外国映画

『コンテイジョン』 予見ではなくシミュレーション?

ついに緊急事態宣言が出されるまでになった新型コロナウイルスで、改めて注目されることになった2011年の作品。本作が話題となったのは、この映画が現在世界中で起きている出来事を予見していたように見えるからだろう。映画で描かれるのは架空のウイルスの話なのだが、新型コロナウイルスという災いを知るためにも極めて役に立つ。
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