外国映画

『ドッグマン』 リアル・ジャイアンをどう扱うか?

『ゴモラ』『リアリティー』などのマッテオ・ガローネ監督の最新作。 のび太とジャイアンのような関係のマルチェロとシモーネ。暴力的で人のことを思い遣るなど考えたこともないリアル・ジャイアンに絡まれたとき、のび太のような人間はどう対処するのか?  イタリアの寂れた海辺の町を舞台に描かれる現実の事件をモデルとした作品。
日本映画

『十二人の死にたい子どもたち』と「この世の終わり」についてのあれこれ

『十二人の死にたい子どもたち』は集団自殺を決意して集まった子供たちの物語。それから最近よく観る「この世の終わり」を描いた映画。どちらもギリギリまで死の境界に近づこうとする点では共通しているように感じられるのだが、これは一体?
外国映画

『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』 新たなスターを発掘した作品

『君の名前で僕を呼んで』のティモシー・シャラメが主演を務めた2017年の作品。 ドライブインシアターでは『T2』が上映されている、90年代のひと夏の物語。劇中の音楽にも懐かしい曲が揃っていて、二度と訪れないような輝くばかりの時間が過ぎていくのだが……。
外国映画

『ピータールー マンチェスターの悲劇』 主役不在の歴史劇?

『秘密と嘘』『家族の庭』などのマイク・リー監督の最新作。 約200年前にイギリスで起きた「ピータールーの虐殺」として知られる民衆弾圧事件を描いた作品。 「ピータールーの虐殺」における中心人物はヘンリー・ハントだが、本作では主役というほどの目立つわけでもない。それでは誰が主役なのかと言えば、民衆一人ひとりとも言えるのだ。
外国映画

『世界の涯ての鼓動』 生と死の距離を越えて

ダニー(アリシア・ヴィキャンデル)とジェームズ(ジェームズ・マカヴォイ)は、ノルマンディーの海辺のホテルで出会い、すぐに愛し合う。しかし、ダニーは生命誕生の秘密を探るために深海に赴き、ジェームズは諜報員としてソマリアへと向かう。それぞれが生と死の境界にありながら、ふたりは互いのことを想うのだが……。
外国映画

『あなたの名前を呼べたなら』 未亡人となったら終わり

根強く身分による差別が残るインドでのご主人様とメイドとの恋。ご主人様のアシュヴィンは夏目漱石が描いた高等遊民のようで、高層マンションにラトナというメイドと暮らしている。未亡人とはいえまだ若いラトナと一緒に暮らす姿は奇妙なものに思えるのだが、そもそも身分違いのふたりが過ちを犯すことなど周囲も考えたことすらないのだ。
日本映画

『よこがお』 曖昧な場所

『淵に立つ』などの深田晃司監督が筒井真理子を主役に迎えた最新作。リサと市子というふたりの女性。本作ではふたりのエピソードが同時進行していく。ふたりは一体どういう関係なのか?
日本映画

『アルキメデスの大戦』 依り代としての戦艦大和

海軍によって建造が予定される戦艦「大和」。それが作られれば、国民を煽り戦争へと突き進むだろう。天才数学者・櫂直(菅田将暉)は数学の力を使い戦争を阻止するために奮闘する。「大和」建造の見積もりの不正を暴いた櫂だが、実際には史実が示す通り「大和」は建造され沈没することになる。それは一体なぜなのか?
外国映画

『存在のない子供たち』 その主張は至極もっとも

12歳という若さで親を訴えることになったゼイン。その罪状を裁判官から問われたゼインは「僕を産んだ罪」と答える。 舞台となる中東のスラムでは子供たちも生きるために働かなくてはならない。同時にそこでは子供たちが人身売買で取引されている現実もある。そんな状況にゼインは「育てられないなら産むな」と声をあげることに……。
ベスト10

前ブログでのベスト16

『映画批評的妄想覚え書き/日々是口実』というブログをやっていた期間は、2012年3月から2019年7月。その間取り上げた約500ほどの作品のなかからベスト16を選んでみた。
日本映画

『赤い殺意』 動物的な自己防衛本能

今村昌平監督の1964年の作品。『キネマ旬報』のベストテンでは日本映画部門の第4位となった。 旦那と息子が実家に帰っていた夜、ひとりで家に居た貞子(春川ますみ)は強盗に出くわしレイプされる。ショックのあまり自殺を試みる貞子だが、その試みは失敗に終わるのだが……。 7月2日にDVDがリリースされた作品。
日本映画

『天気の子』 自由が大切か? 役割が大切か?

『君の名は。』などの新海誠監督の最新作。 人の気持ちは天気によってたいぶ変わる。その天気を自由に操れる能力があったとしたら? 高校生の帆高は、街で噂になっていた「100%の晴れ女」陽菜と出会い、ふたりで晴れ間ビジネスを始めることに。しかし、その能力はそれと引き換えに陽菜の大切なものを奪っていく。