外国映画

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『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』 「選択の自由」という悩ましさ

監督は『ナチュラルウーマン』などのセバスティアン・レリオ。 かつて同性愛の関係がバレてユダヤ・コミュニティを飛び出したロニートと、そこに留まり男性と結婚することを選んだエスティ。 ユダヤ教のラビ曰く、人間には「選択の自由」があるというのだが、選べることがかえって悩ましいこともあるようだ。
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『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』 架空の世界に無国籍な美女が集う

『ツバル』『世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方』などのファイト・ヘルマー監督の最新作。ガラスの靴の代わりに青いブラジャーの持ち主を探し回るファンタジー。撮影された場所はアゼルバイジャンらしいが、本作は架空の世界の出来事に感じられる。さらに登場してくる女性たちも様々な国の出身で、無国籍感が漂う作品だ。
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『リチャード・ジュエル』 それにも関わらず……

野外ライブ会場で起きた爆弾テロ事件。警備員のリチャード・ジュエルは、観客を安全な場所へと誘導し被害を最小限に食い止める。一躍ヒーローとなったリチャードだが、ある記事によって容疑者にされてしまう。 マスメディアが悪者とされているようにも感じられる作品だが、イーストウッドが描きたかったのはもっとほかのことに感じられた。
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『COLD WAR あの歌、2つの心』 もうひとりの主人公は音楽

今年になってソフト化された『イーダ』のパヴェウ・パヴリコフスキ監督の最新作。 本作は1949年から1964年までの15年間を88分で描く。監督がもうひとりの主人公と語るのは音楽で、本作では民族歌謡から始まってジャズやロックなど、時代と場所に合わせた音楽が引用される。「2つの心」の「オヨヨーイ」という響きが印象的。
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『フォードvsフェラーリ』 “男のロマン”という厄介なもの

1966年のル・マン24時間レースを題材とした実話をもとにした作品。60年代の前半、ル・マンで連勝し続けていたフェラーリに対し勝負を挑んだフォード。フォードが白羽の矢を立てたのが、シェルビーとマイルズというふたりの男。 極限までスピードを上げたときに感じられる静寂の世界。そんな“男のロマン”を追求するふたりの物語。
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『サマーフィーリング』 風景描写が心地いい

『アマンダと僕』のミカエル・アース監督の第2作。 テーマとしては『アマンダと僕』と同様に、大切な人を喪った悲しみを扱うことになるのだが、本作では3度の夏を3つの都市(ベルリン、パリ、ニューヨーク)を背景にして描いていく。とりわけフランスのアヌシー湖畔の風景が素晴らしく、観ているだけで癒される。
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『パラサイト 半地下の家族』 落ちてくるものは?

カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞したポン・ジュノ監督の最新作。 半地下に住むキム一家は全員失業中の身だった。ところが長男ギウが富裕層の娘の家庭教師をすることになり、キム一家はその家に寄生するようになっていくのだが……。 これ以上はネタバレ厳禁だが、パルム・ドールの高尚なイメージとはまったく違う娯楽作となっている。
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『2人のローマ教皇』 白日の下に晒されたのは?

2013年に突然辞任を発表することになったローマ教皇ベネディクト16世。これはカトリックの歴史のなかでも700年ぶりの例外的な事態だ。次に教皇に選ばれることになったのは、先日来日して話題となったフランシスコ教皇。本作はそんな2人の教皇の対話劇となっている。対照的な2人の教皇の間で、一体どんな対話がなされたのか?
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『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』 excuse?

42年前に始まった『スター・ウォーズ』シリーズの最終作(エピソード9)。1977年のエピソード4から始まったこのシリーズ。1999年からエピソード1からのプリクエル3部作が公開された。そして、生みの親であるルーカスの手を離れたシリーズは、2015年のエピソード7から始まって本作で本当の最後を迎えることに……。
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『テッド・バンディ』 意図した教訓は届いたのか

全米で30人以上の女性を殺したとされるテッド・バンディ。本作はそんなバンディと一緒に暮らしていたリズという女性の視点から、バンディという男を追っていくことになる。リズの前では娘にもとても優しい男性だったバンディだが、裁判の過程で明らかになるのはおぞましい殺人の数々だった。バンディはあくまで無罪を主張するのだが……。
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『家族を想うとき』 ケン・ローチの“怒り”再び

マイホームを持つ夢のために宅配ドライバーとして独立したリッキー。仕事は家族の幸せのためのはずだったのだが、1日に14時間も働く激務のうちに家族と顔を合わす機会も失われていく。 真っ当な家族が懸命に働いていても普通に生活することが難しい。そんな状況に対するケン・ローチ監督の怒りを感じさせる作品。
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『マリッジ・ストーリー』 離婚ですべてが終わるわけではない

冒頭、互いの長所を恥ずかしげもなく語るふたり。チャーリー(アダム・ドライヴァー)は妻ニコール(スカーレット・ヨハンソン)のことを「気まずい場面で相手を気遣える」「人の話をよく聞く」などと語りノロケているのだが、実はこれは過去の出来事。ふたりは離婚に向けての協議の真っ最中だった……。