『やっぱり契約破棄していいですか!?』 ブラックな味わい!?

外国映画

監督・脚本はトム・エドモンズ。本作が長編映画監督デビュー作とのこと。

原題はDead in a Week ( Or Your Money Back )

物語

小説家を目指しているもののまったく芽が出ないウィリアム(アナイリン・バーナード)は、何度も自殺に失敗し最後の手段として自ら暗殺者を雇うことに。ところが暗殺の契約が成立した後になって出版社から連絡があり、「本を出版したい」旨の話が持ち上がる。ウィリアムはやり残したことがあるから契約を解除したいと申し出るものの、契約書にサインをしたために簡単にそれを破棄することはできないことになり……。

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死にたい小説家

ウィリアムはすでに何度も自殺に失敗していて、自分はもしかしたら不死身なんじゃないかとまで思い詰めている。彼の自殺の理由は小説家の卵らしく実存に関するもの。自分が生きていることに価値はないんじゃないかなどと青臭いことを考え悩み、そのことについて小説に書きつつも自殺願望も抑えられないでいるらしい。

クビ寸前の殺し屋

彼の暗殺を請け負うことになるレスリー(トム・ウィルキンソン)も切羽詰まっている。というのも、彼は英国暗殺者協会が課す暗殺のノルマをこなすことができていないから。そのためにレスリーは自殺の名所として名高い場所を夜な夜な営業に回っていてウィリアムの見つけたらしい。自殺するのはそれほど楽じゃない、私と契約すれば確実に一週間以内に望むような死を迎えることができる。そんなふうにウィリアムを勧誘したのだ。

かつては輝かしい成績を誇っていたレスリーも今では老いぼれ、ノルマをこなせなければクビだと上司から宣告されている。だからどうしてもウィリアムを殺してノルマを達成する必要があり、ウィリアムからの契約破棄の申し出も簡単に受け入れるわけにはいかない理由があったのだ。

※ 以下、ネタバレもあり!

(C)2018 GUILD OF ASSASSINS LTD

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ブラックな味わい!?

同じようなネタではアキ・カウリスマキ『コントラクト・キラー』1990年)があるし、最近でも『素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店』2015年)という作品もあった。どちらの作品も主人公が自分を殺す契約すると、なぜか恋に落ちて死にたくなくなってしまうというもの。

本作 『やっぱり契約破棄していいですか!?』も同じ路線を踏襲していくわけだが、かなりブラックなところがある。これがイギリス流のユーモアというものなのだろうか。

自殺願望を抱いているウィリアムの子どもの時のエピソードがえげつない。ウィリアムの両親は休日にアイスクリームを食べながら歩いているところを、上から落ちてきたピアノに潰されたという設定。『ゾンビランド』にも似たような場面があったが、あっちはターゲットがゾンビだから笑えるのだが本作はちょっとひくかも。

しかも虫の息の父親が、最後にウィリアムに向かって何か訴えるように死んでいく場面をしっかりと見せるものだから、コメディにも関わらず笑えない感じに……。ウィリアムはその死ぬ間際に父親が人生の秘密を打ち明けてくれるんじゃないかという希望的観測を抱くのだが、父親はただわけも分からぬままに死んでしまう。このことがトラウマになって、ウィリアムは自分の存在価値について疑問を抱くことになってしまったらしい。

そんなウィリアムを救うことになる出版社のエリー(フレイア・メイヴァー)だ。彼女も両親を自動車事故で失っていて自殺願望があったらしく、ウィリアムの小説に目をつけたのは自殺願望つながりということなのだろう。『十二人の死にたい子どもたち』と同様に「同好の士」とつながることでガス抜きができたことが幸いしたのか、ふたりは追ってくる暗殺者レスリーから逃げ回ってまで生きようとすることになる。

ほとんど老害

本作でちょっとほのぼのとさせるのはレスリーとその奥様とのやりとり。暗殺者にも家庭があり、レスリーは奥様も公認の暗殺者ということらしい。ただ、レスリーの暗殺者としての腕前は酷いもので、ウィリアムを殺そうとしてほかの人間を何度も誤射して殺しているというのも笑えないところ。レスリーは暗殺者としての仕事を生きがいとしているだが、その仕事に対する執着心はほとんど老害としか言えないくらいで苦笑いという感じだった。

やはり『コントラクト・キラー』はとてもうまかったんだなということを今回改めて感じた。際どい場面を描いていてもクスッとさせるのは、見せるところと見せないところを選別しているからだろうか。

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