日本映画 『糸』 平成と中島みゆきを組み合わせて…… 菅田将暉と小松菜奈の競演作としては三作品目。『ディストラクション・ベイビーズ』でふたりが演じたのは殺し合うことになる役柄で、次の『溺れるナイフ』もごく普通の恋愛ものとは言いかねる内容だった。そんな意味では等身大のふたりが演じる初めての恋愛ものなのかも。 2020.08.23 日本映画
外国映画 『ポルトガル、夏の終わり』 末期の目に映る夕陽 主演のイザベル・ユペールが、『人生は小説よりも奇なり』という作品を気に入り、監督であるアイラ・サックスにオファーして作り上げたという作品。 自らの死期を悟った女優フランキーは家族や友人をポルトガルのシントラに呼び寄せることに。フランキーは自分の死後の段取りを整えようとしていたのだ。 2020.08.18 外国映画
外国映画 『とうもろこしの島』 少女の異物感? 日本では2016年に公開されたジョージア(グルジア)映画。 極端に台詞を排し、映像だけで見せる作品という意味でも、美少女が登場するという意味でも『草原の実験』あたりを思わせる。 紛争地帯の狭間にある川を舞台に、その中州にとうもろこし畑を作る様子を追っていくのだが、川沿いの風景も美しく、見ていて心地よい時間が流れていく。 2020.08.13 外国映画
外国映画 『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』 曰く言い難し バンド仲間が集まって羽目を外し過ぎた夜、ある事故が起きディックはケガをして瀕死の状態に。ジークとアールはディックを救急病院の前まで運び、そこに置き去りにすることになるのだが……。 2020.08.09 外国映画
日本映画 不要不急なことなれど…… コロナ禍では不要不急のものは後回しにされることになるわけで、映画などはその最たるものかもしれない。とはいえ、映画業界も長らく休業を余儀なくされ窮状にあることは間違いない。そんな中、大林宣彦監督の遺作となった『海辺の映画館―キネマの玉手箱』、岩井俊二監督の最新作『8日で死んだ怪獣の12日の物語 劇場版』が公開となった。 2020.08.05 日本映画
外国映画 『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』 生きる場所の違い? 「カトリック教会の性的虐待事件」は2001年に新聞報道され公のものとなったのだが、それですべてが解決したわけではなかったらしい。現在も裁判が進行中の事件を題材にしたフランス版の『スポットライト』とされるこの映画は、より一層性的虐待の被害者側にスポットライトを当てていくことになる。 2020.07.24 外国映画
外国映画 『はちどり』 14歳という曖昧な存在 舞台は家父長制が色濃く残る1994年の韓国。主人公はウニという14歳の中学生。14歳は子供とも大人とも言えない微妙な時期で、ウニは塾でヨンジ先生に出会って心酔していく。先生は「知っている人の中で、本心まで知っているのは何人?」と問い掛ける。その言葉に導かれ、ウニは身近な人のこれまでとは違う姿を目撃することに……。 2020.07.20 外国映画
外国映画 『透明人間』 遍在する恐怖 透明人間という何度も映画化されてきた題材を生まれ変わらせた作品。 本作の主人公は透明人間ではない。透明人間という見えない存在に怯える女性が主人公だ。セシリアは常に周囲を気にしていて、その姿は精神を病んでいるように見える。だから周囲の者も、セシリアが「見えない男がそこにいる」と怯えるのも、彼女の妄想だと思うのだが……。 2020.07.15 外国映画
日本映画 『MOTHER マザー』 わからないものはわからないままに 長澤まさみが普段のキャラとは正反対の毒母を演じた作品。 本作は実際に起きた事件をモデルにしているというのだが、主人公となる秋子のグズっぷりはまったく理解し難い。そんな母親に育てられた息子の周平は、学校にも行けずに劣悪な生活状態に置かれ、次第に秋子の言われるがままに犯罪にも手を染めるようになっていくのだが……。 2020.07.09 日本映画
外国映画 『未知への飛行』 失敗学は有効か? 『未知への飛行』は、1964年に公開されたシドニー・ルメット作品だが、同年には同じテーマの『博士の異常な愛情』があったせいで隠れてしまう形になった不遇な作品。 冷戦時代、機械の誤作動によってアメリカの爆撃機がモスクワへと核爆弾を投下する作戦が始動する。大統領はそれを止めるためにあり得ない決断をすることに……。 2020.06.29 外国映画
外国映画 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』 一石二鳥の離れ技 『レディ・バード』のグレタ・ガーウィグが監督を務めた、ベストセラー『若草物語』の再映画化。 本作が過去の『若草物語』と異なるのは、主人公ジョー(シアーシャ・ローナン)が『若草物語』を書き始める「現在」と、四人姉妹が揃って暮らしていた「過去」が交互に描かれていくところ。この構成がラストに活きてくるのが本作のうまいところ。 2020.06.19 外国映画
外国映画 『その手に触れるまで』 狂信の代償 カンヌ映画祭の常連、ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟の最新作。 アメッドはまだ幼さが残る少年なのに、イスラム教の導師に洗脳される形で、テロ行為を起こす。結局はそれは失敗に終わったのだが、アメッドは矯正施設に入れられても信念を変えようとはしない。母親や周囲の人たちは、アメッドの洗脳を解こうとするのだが……。 2020.06.16 外国映画