外国映画

『リチャード・ジュエル』 それにも関わらず……

野外ライブ会場で起きた爆弾テロ事件。警備員のリチャード・ジュエルは、観客を安全な場所へと誘導し被害を最小限に食い止める。一躍ヒーローとなったリチャードだが、ある記事によって容疑者にされてしまう。 マスメディアが悪者とされているようにも感じられる作品だが、イーストウッドが描きたかったのはもっとほかのことに感じられた。
日本映画

『ラストレター』 秘めたる想い?

岩井俊二ベスト盤風の趣きの作品。『Love Letter』では手紙は誤配されることになり、『ラストレター』でも手紙は正しい相手には届かない。若くして亡くなった未咲が娘に遺していたメッセージは何だったのか? また、そのメッセージに監督・岩井俊二が込めた想いは何だったのか?
外国映画

『COLD WAR あの歌、2つの心』 もうひとりの主人公は音楽

今年になってソフト化された『イーダ』のパヴェウ・パヴリコフスキ監督の最新作。 本作は1949年から1964年までの15年間を88分で描く。監督がもうひとりの主人公と語るのは音楽で、本作では民族歌謡から始まってジャズやロックなど、時代と場所に合わせた音楽が引用される。「2つの心」の「オヨヨーイ」という響きが印象的。
外国映画

『フォードvsフェラーリ』 “男のロマン”という厄介なもの

1966年のル・マン24時間レースを題材とした実話をもとにした作品。60年代の前半、ル・マンで連勝し続けていたフェラーリに対し勝負を挑んだフォード。フォードが白羽の矢を立てたのが、シェルビーとマイルズというふたりの男。 極限までスピードを上げたときに感じられる静寂の世界。そんな“男のロマン”を追求するふたりの物語。
外国映画

『サマーフィーリング』 風景描写が心地いい

『アマンダと僕』のミカエル・アース監督の第2作。 テーマとしては『アマンダと僕』と同様に、大切な人を喪った悲しみを扱うことになるのだが、本作では3度の夏を3つの都市(ベルリン、パリ、ニューヨーク)を背景にして描いていく。とりわけフランスのアヌシー湖畔の風景が素晴らしく、観ているだけで癒される。
外国映画

『パラサイト 半地下の家族』 落ちてくるものは?

カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞したポン・ジュノ監督の最新作。 半地下に住むキム一家は全員失業中の身だった。ところが長男ギウが富裕層の娘の家庭教師をすることになり、キム一家はその家に寄生するようになっていくのだが……。 これ以上はネタバレ厳禁だが、パルム・ドールの高尚なイメージとはまったく違う娯楽作となっている。
ベスト10

2019年の映画ベスト10!

今年の10作品を選んでみた。Netflixオリジナル作品としては『アイリッシュマン』をベスト10に入れたわけだけれど、ほかにも『マリッジ・ストーリー』など悩んだ作品は多かった。これだけオリジナル作品が揃っているとNetflixの勢いは無視できそうにない。
外国映画

『2人のローマ教皇』 白日の下に晒されたのは?

2013年に突然辞任を発表することになったローマ教皇ベネディクト16世。これはカトリックの歴史のなかでも700年ぶりの例外的な事態だ。次に教皇に選ばれることになったのは、先日来日して話題となったフランシスコ教皇。本作はそんな2人の教皇の対話劇となっている。対照的な2人の教皇の間で、一体どんな対話がなされたのか?
外国映画

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』 excuse?

42年前に始まった『スター・ウォーズ』シリーズの最終作(エピソード9)。1977年のエピソード4から始まったこのシリーズ。1999年からエピソード1からのプリクエル3部作が公開された。そして、生みの親であるルーカスの手を離れたシリーズは、2015年のエピソード7から始まって本作で本当の最後を迎えることに……。
外国映画

『テッド・バンディ』 意図した教訓は届いたのか

全米で30人以上の女性を殺したとされるテッド・バンディ。本作はそんなバンディと一緒に暮らしていたリズという女性の視点から、バンディという男を追っていくことになる。リズの前では娘にもとても優しい男性だったバンディだが、裁判の過程で明らかになるのはおぞましい殺人の数々だった。バンディはあくまで無罪を主張するのだが……。
外国映画

『家族を想うとき』 ケン・ローチの“怒り”再び

マイホームを持つ夢のために宅配ドライバーとして独立したリッキー。仕事は家族の幸せのためのはずだったのだが、1日に14時間も働く激務のうちに家族と顔を合わす機会も失われていく。 真っ当な家族が懸命に働いていても普通に生活することが難しい。そんな状況に対するケン・ローチ監督の怒りを感じさせる作品。
日本映画

『カツベン!』 日本での活動写真の受け入れ方

映画がまだ“活動写真”と呼ばれていた時代、日本ではサイレント映画は“活動弁士”という解説者の「語り」と共に受け入れられていた。なかには映画以上に人気者となる“活動弁士”もいた。これは日本独自のもので、『カツベン!』はそのころの映画業界を描いたドタバタ喜劇である。