外国映画

『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』 「世界」と「自分」

『わたしはロランス』『Mommy/マミー』などのグザヴィエ・ドラン監督の最新作。ジョン・F・ドノヴァンというスターが若くして死ぬ。彼と密かに手紙をやり取りしていたルパート少年は、その後その手紙をもとにした本を出版する。そこにはジョン・F・ドノヴァンがなぜ死ななければならなかったかについて書かれていた。
日本映画

『Fukushima 50』 素朴な疑問を

3.11に発生した東日本大震災。福島第一原子力発電所では全電源を喪失し、原子炉がコントロール不能という状況に陥る。あの日、原発では何が起きていたか。それを忠実に再現した作品。原発事故の恐怖を知らしめるには役に立つ作品と言えるのだが、一方でそんなことを引き起こした原因についてはスルーしているのはなぜなんだろうか?
ドラマシリーズ

『チェルノブイリ』 真実を隠すための物語

1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故を描いたドラマシリーズ。かつては他人事だったチェルノブイリも、3.11を経験した今となっては切実なものに感じられる。なぜ人間の力でコントロールできないようなものを作ってしまったのと思わざるを得ないからだ。現在公開中の『Fukushima50』と共にぜひともおさえておきたい作品。
外国映画

『レ・ミゼラブル』 イッサに何が起こったか

マチュー・カソヴィッツの『憎しみ』のようなパリ郊外(バンリュー)を描いた作品。モンフェルメイユという街はユゴーの小説『レ・ミゼラブル』の舞台ともなった場所だが、今では移民などの低所得者層が多く住む地域。それぞれのグループが徒党を組みヤクザの抗争のような状態にある街が、ある少年のいたずらによって一触即発の事態へ……。
外国映画

『黒い司法 0%からの奇跡』 感動的で泣かせる話だが……

冤罪で死刑にされた黒人のために、アメリカの司法と闘ったブライアン・スティーヴンソンの実話をもとに作品。かつて『アラバマ物語』の舞台ともなったアラバマ州では、黒人は生まれながらにして罪人として扱われている。ブライアンはそんな場所で無実の黒人を助けることができるのか? 涙なしには見られない作品となっているのだが……。
外国映画

『ミッドサマー』 自分はそのままに世界を変える

家族を亡くして精神的に不安定なダニーは、恋人クリスチャンやその友人と共にスウェーデンを訪れる。ホルガと呼ばれる村で90年に一度行われる祝祭を体験するためだ。自分たちが依拠する文化とは全く異なる世界。そんな場所でメンヘラ女性であるダニーはいつの間にかに癒されることになるのだが、それはなぜか?
外国映画

『名もなき生涯』 やはり物語はあったほうがいい

実在した農夫フランツ・イェーガーシュテッターの人生を描いた伝記映画。詩的なイメージが展開していく独特なスタイルを持つテレンス・マリックだが、本作は「良心的兵役拒否を貫き死刑にされた」という物語がはっきりしているため、それなりに取っつきやすい作品になっている。アルプスの山々を臨む雲の上の世界はまるで天国のようでもあった。
外国映画

『ドミノ 復讐の咆哮』 ハリウッドから遠く離れて

久しぶりのブライアン・デ・パルマ監督の最新作。デンマーク市警のクリスチャンは、イスラム過激派が関わる事件に巻き込まれる。クリスチャンの失敗により相棒が犠牲になり、彼は独自に犯人を追うことに……。随所にデ・パルマらしさは感じられるものの、脚本の出来の悪さもあり、資金不足でチープな感が目立つ作品になってしまったかも。
外国映画

『1917 命をかけた伝令』 確率の問題

アカデミー賞で撮影賞、録音賞、視覚効果賞の3部門を受賞した作品。作戦の中止を伝えるための伝令役の主人公を追って、全編ワンカット風に進んでいく戦争映画。塹壕を歩き回り、ノーマンズランドを這い、敵兵が潜むかもしれない街をくぐり抜けていく。物語は単純だが、見せ方はうまい。観客も戦場を走り回るような気分になるかも。
日本映画

『37セカンズ』 知ってしまえば怖くない

脳性麻痺によって身体に障害を抱えたユマ。本作ではその障害のある主人公を、実際の当事者が演じている。それだけに嘘くさくならずに真っ直ぐに伝わるものがあるだろう。健常者は障害者と出会うことはそれほど多くはない。知らないからこそ構えてしまうこともあるわけで、障害者を知ればそんなことはなくなるのかもしれない。
外国映画

『巡礼の約束』 旅の途中で

チベット人監督ソンタルジャの最新作。チベットの山あいの村に住むウォマは、五体投地で聖地ラサへと巡礼することを宣言する。半年以上もかかるという難行に夫のロルジェは反対するのだが……。ウォマはなぜ五体投地での聖地巡礼を決断することになったのか? それによって何を求めているのか?
外国映画

『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』 「選択の自由」という悩ましさ

監督は『ナチュラルウーマン』などのセバスティアン・レリオ。かつて同性愛の関係がバレてユダヤ・コミュニティを飛び出したロニートと、そこに留まり男性と結婚することを選んだエスティ。ユダヤ教のラビ曰く、人間には「選択の自由」があるというのだが、選べることがかえって悩ましいこともあるようだ。