『オークストリートの異変』 アン・ハサウェイ、奮闘す

外国映画

監督・脚本は『イット・フォローズ』デヴィッド・ロバート・ミッチェル

主演は『隣人たち』アン・ハサウェイ

原題は「The End of Oak Street」。

物語

平和な街オークストリートで、平凡な暮らしを送るプラット家。
しかしある日を境に、街では不思議な現象が発生。
ついには水道や電気が止まり町は断絶状態に。さらに、絶滅したはずの恐竜が街中に出現し住民を襲いはじめる。
はたして家族は、襲い掛かる様々な恐竜から逃げ延び、異変から脱出することが出来るのか?

(公式サイトより抜粋)

恐竜×タイムトラベル×家族愛

予告編などで恐竜が出てくる話と知り、『ジュラシック・パーク』の亜流なんだろうという印象ではあったのだけれど、監督・脚本がデヴィッド・ロバート・ミッチェルだったことがちょっと意外な気もした。

デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の出世作は、ホラー映画の『イット・フォローズ』だったけれど、ホラー映画と言えるものはこの作品だけだ。毎回異なるジャンルに手を出しているようで、今回の『オークストリートの異変』エンターテインメントに徹したということなのかもしれない。

オークストリートという街に恐竜が出現するわけは、街全体が古代にタイムトラベルしてしまったということらしい。これはちょっと『漂流教室』を思わせなくもない。一応はカール・セーガンの名前を出して説得力を持たせようとはしているけれど、荒唐無稽な設定だろう。

だから『ジュラシック・パーク』に人気の“タイムトラベルもの”をミックスしたようなごちゃ混ぜな映画になっていて、さらに家族愛の話が入り込んでくる。

エンタメの要素をこれでもかというほど詰め込んでいて、夏休みの子どもたちも恐竜に追われる主人公の気持ちになってハラハラドキドキしていたんじゃないだろうか。とはいえ、なかなか残酷な場面もあるし、恐竜同士の交尾という奇妙な場面もあるから子どもにはオススメはできないかもしれないけれど……。

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奇妙なカットは?

邦題は「オークストリートの異変」となっている。街で奇妙なことが起きていて、それが少しずつ大きくなっていく。その異様さを示そうとしたのか、予告編にも使われている奇妙なカットがある。

前面の極端なクローズアップの顔と、奥にいる人物。その両方にピントが合っているというカットだ。このカットがいわゆるパンフォーカスという手法と言えるのかどうかは知らないけれど、あまりに極端だから映像を切り貼りしたようにすら見える。それでもこのカットの異様さは、街に起きている奇妙な出来事を示しているようでもあった。

この前面と奥とのどちらにもピントが合っているという手法は、ほかでもうまく活用されていた。アン・ハサウェイと子どもたちが別のことに気を取られていると、その奥には恐竜がいて足を忍ばせて彼女たちを餌にしようと近づいてくる。ドリフが好きな子どもなら「志村、後ろ!」と叫ぶところだろう。そんなわけで本作は子どもたちにもわかりやすく楽しめる作品になっている。

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アン・ハサウェイ、奮闘す

本作の原題は「The End of Oak Street(オークストリートの最後)」というものだ。このタイトルは、アン・ハサウェイ演じる主人公デニースが未来に書くことになる本に由来している。

実はデニースは作家志望であり、夜にこっそり執筆に励んでいた。その小説の中身は、家族を捨てて出ていくことになる女性が主人公だ。デニースがそんな願望を抱いていたのは、旦那のグレッグ(ユアン・マクレガー)との関係がうまくいってなかったからだろう。

グレッグは実は失業中で、小遣い稼ぎと称してやっているピザの宅配の収入だけが彼の稼ぎなのだ。それでも彼はそのことを奥様に言えなかったらしい。何だかんだ奥様に頭が上がらないのだ。

アメリカ郊外の瀟洒な住宅地に住み、かわいい子どもも2人居る。誰が見ても幸せそうな理想のカップルというふうに見えるけれど、2人は夫婦の危機にあったのだ。

ちょっと情けないグレッグの設定は、どこかで前作の『アンダー・ザ・シルバーレイク』の主人公に似てなくもない。グレッグの設定にはデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の姿が反映されているのだろうか。

そんなグレッグが呆気なくやられてしまうところにはちょっと驚いた。主人公の家族は死ぬはずがないと思い込んでいたからだが、実はそれがラストの伏線になっている。

グレッグはデニースのために命を張ることになるけれど、恐竜には敵うわけがない。無惨にも足はちぎれ、頭からガブリとやられることになるのだ。それでもその瞬間はデニースを救ったわけで、意地は見せたということだろうか。

結局は頼りになるのはやはりデニースだったということになる。彼女の機転もあってラストは急にハッピーエンドみたいになって終わる。エンターテインメントとしてスッキリさせる終わり方で、悪くなかったんじゃないかと思う。タイムパラドックスは色々と生じているわけだけれど……。

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デニース役のアン・ハサウェイは、最近の『隣人たち』では子どもを亡くした母親を演じていたけれど、ほとんど最後まで崩れることがなくキレイなままだったことが拍子抜けだった。

一方で、本作のデニースは子どもに八つ当たりしてしまったりして、もっと人間味があるキャラクターになっている。恐竜相手に全力疾走したり、必死に床を這いずり回ったりと、滅多にないボロボロになったアン・ハサウェイの姿を拝むことができる。そんなアン・ハサウェイの頑張りが見どころなんじゃないだろうか。

公式サイトのキービジュアルは子どもを先導する母親アン・ハサウェイの姿だと勘違いしていたのだが、よく見ると後ろに付き従っているのは旦那役のユアン・マクレガーだった。確かにそんな関係性だった気もする。

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