今泉力哉

日本映画

『アンダーカレント』 自分の行動に驚かされる

銭湯の女主人・かなえは、夫・悟が突然失踪し途方に暮れる。なんとか銭湯を再開すると、堀と名乗る謎の男が「働きたい」とやってきて、二人の不思議な共同生活が始まる。一方、友人から紹介された探偵・山崎は悟の行方を探すことになり……。
日本映画

『窓辺にて』 パフェとパチンコの効能

市川茂巳は編集者である妻・紗衣がある作家と浮気しているのを知っている。しかし、それを妻には言えずにいた。同じ頃、茂巳はある文学賞の授賞式で高校生作家・久保留亜と知り合う。留亜は茂巳が自分の小説の良き理解者と知り、彼に興味を抱いたのだ。
日本映画

『猫は逃げた』 愛の源についての映画?

著名な映画監督二人(今泉力哉と城定秀夫)が、互いの脚本を映画化するという新しい企画による第2弾。漫画家・町田亜子と週刊誌記者の広重は離婚間近の夫婦だが、飼い猫カンタをどちらが引き取るかで揉めることに。ところがそのカンタが失踪してしまい……。
日本映画

『愛なのに』 肉は悲し

著名な映画監督二人(今泉力哉と城定秀夫)が、互いの脚本を映画化するという新しい企画による第1弾。 古本屋の店主の多田は、ある日、女子高生の岬からプロポーズされる。突然の告白に驚きつつも、多田はそれを丁重に断ることになるのだが……。
外国映画

『かそけきサンカヨウ』 回り道の末に

幼い頃に家を出た母親の代わりに毎日夕飯を作る陽。父親と陽のふたりだけの静かな生活は、ある日から一変する。父親が再婚すると言い出したからだ。 同じ頃、陽は画家として生きている母親の個展に出かける。友人の陸からデートに誘われたからだ。
日本映画

『街の上で』 記録と記憶

新型コロナの影響で公開が延期されていた今泉力哉監督作品。街そのものが主役とでもいうかのように実在する下北沢の店がいくつも登場し、変化の只中にあった街の姿をフィルムに留めようとする。ゆるやかな時間が流れ、いつまでもそこに浸っていたくなる。
日本映画

『his』 理想論だけれど涙を禁じ得ない

先週『mellow メロウ』が公開されたばかりの今泉力哉監督の最新作。 主人公の迅が都会の生活を捨てて山の中でひっそり暮らしているのは、彼が同性愛者だから。しかしそこにかつての恋人・渚が娘を連れて現れて……。 本作では迅と渚はそれぞれある決断をすることになるが、予想していたのとは違う決断で大いに泣かされることになった。
日本映画

『mellow メロウ』 片想い至上主義を推し進めると

『愛がなんだ』『アイネクライネナハトムジーク』などの今泉力哉監督の最新作。 監督自身が「片想い祭り」と呼ぶこの作品は、まさに今泉監督のエッセンスを純粋培養したようなものとなっている。余計なものを排除してただ片想いに耽ることになる登場人物たちを見ていると、片想いって素晴らしいという気持ちになってくる。