「キング・オブ・ポップ」ことマイケル・ジャクソンの伝記映画。
監督は『イコライザー』のアントワン・フークア。
主演はマイケル・ジャクソンの実の甥であるジャファー・ジャクソン。
物語
野心家の父ジョセフのもとで厳しいレッスンを受け、兄弟グループ「ジャクソン5」のメンバーとして幼くして成功を収めたマイケル・ジャクソン。やがて名プロデューサーのクインシー・ジョーンズと出会った彼は、ソロアーティストとして数々の歴史的名曲を生み出し、瞬く間に時代の寵児となっていく。しかしその栄光の裏には、早熟の天才ゆえの孤独感や、強権的な父の呪縛、家族への愛と自分の中にあふれるビジョンとの間で葛藤するひとりの人間の姿があった。
(『映画.com』より抜粋)
あのMJの伝記映画
『ボヘミアン・ラプソディ』に続くミュージシャンの伝記映画で、日本でも大ヒットを記録しそうな作品だ。というのも、題材はあのマイケル・ジャクソンというわけで、知名度から言えばほとんど誰も敵う人はいないような大スターだからだ。もうこの題材ならある程度の成功は予想できることになるけれど、そのマイケル・ジャクソンを誰が演じるのかということが一番の問題になる。
『ボヘミアン・ラプソディ』の時もフレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックの成り切りぶりが話題になっていたけれど、そこが映画の成功の鍵を握る部分になるのは明らかだろう。しかも主役はマイケル役を演じるだけではなく、マイケルの唯一無二のパフォーマンスまで再現しなければならないわけで、余計に難易度は増しているとも言える。
そんな意味で、ジャファー・ジャクソンはその難しい仕事を見事にやってのけた。彼はマイケルの実の甥ということで、雰囲気が似ているということはあるけれど、かといってあのパフォーマンスを習得することが簡単ではないことは推測されるわけで、スクリーンの中で躍動するマイケルの姿を違和感なく追うことができたのは、ジャファー・ジャクソンの努力の賜物ということなのだろう。

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パフォーマンスありき
日本よりも先に公開されているアメリカでの評判を見ると、たとえばロッテントマトでは観客のスコアは97%という圧倒的高得点なのに対し、批評家のスコアは38%というかなり低い点数になっている。一般の観客は満足しているけれど、批評家受けが悪いということだ。
この評価はわからないでもない。私自身は『Michael/マイケル』を存分に楽しめたと思うけれど、その楽しさは映画としての評価というわけではない。マイケルの存在というか、マイケルのパフォーマンス(あるいはその再現度合い)が素晴らしかったという意味だ。マイケルのライブを観に行って楽しかったというのと同じかもしれない。
しかしながら、これは一般の観客の映画の楽しみ方でもあるだろう。アメリカでは観客が踊り出したりしているとかも噂されているけれど、本作はマイケルの楽曲の良さもあって、一緒に参加したいような気持ちにさせてくれるような作品になっているのだ。映画館をライブ会場のようにしてしまおうという意図は成功していると言える。

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そこで終わる?
本作は「ジャクソン5」としてデビューし、『オフ・ザ・ウォール』でソロ活動を成功させ、さらに『スリラー』、『BAD』でポピュラー音楽界の頂点に立つというところで終わっている。マイケルの人生はさらに続くけれど、続編を匂わせたままで終わってしまうのだ。
本作の中心にあるのは、マイケルと父ジョセフ(コールマン・ドミンゴ)との確執だ。ジョセフは息子たちを支配し、意に沿わない場合は暴力で従わせる。マイケルはそんな父親からの暴力の被害者だ。大人になったマイケルは弁護士(マイルズ・テラー)を雇ってジョセフの支配から脱却しようとするものの、それは簡単ではない。
『BAD』というアルバムは、父親のくびきから逃れて自由になった後の作品ということで、彼にとっても感慨深い作品だったのかもしれない。『BAD』が発売された当時は、日本でも大々的なプロモーションが行われ、私自身がマイケルの存在をきちんと知ったのはその時だった気がする。
そんな意味では、本作はマイケルのサクセスストーリーとなっている。その途上では撮影中に頭部に大火傷を負うという事故もあるけれど、それもマイケルは前向きに乗り切ることになるのだ。しかしその一方で、その後のスキャンダルなどに関しては一切触れられていないわけで、マイケルの伝記映画という意味合いでは片手落ちというか、いいところばかりをダイジェストしたものということになってしまってもいるのだろう。
どうも初期の段階では、後年の児童に対する性的虐待疑惑の話なども盛り込まれた作品になるはずだったらしい。ところが途中で問題が生じて方向転換を余儀なくされたらしい。続編の計画もあるようだし、そういう負の部分は改めて触れられるということなのだろうか? しかし、そういう部分をファンが映画館で観たいのかと問われれば疑問を感じなくもないわけだけれど、一体どうなるのだろうか?




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