監督・脚本は『アンダーウォーター』のウィリアム・ユーバンク。
主演は『ハンガー・ゲーム』のリアム・ヘムズワース。
物語
イスラム過激派の温床となっているスールー海の緑豊かな島で、米軍特殊部隊デルタフォースが、拉致されたCIAエージェントを救出するという極秘任務に乗り出した。精鋭ぞろいの部隊の中で、JTAC(統合末端攻撃統制官)のキニー軍曹は航空支援の連絡役として、実戦経験がほとんどないまま任務に参加することになる。しかし目的地に着いた直後、部隊は反政府ゲリラに遭遇し、激しい銃撃戦の末に壊滅寸前に陥る。戦場で孤立したキニーは、はるか上空から支援する無人戦闘機MQ-9リーパーのベテラン操縦官だけを頼りに、決死の脱出に挑むが……。
(『映画.com』より抜粋)
意外な拾い物?
お盆の時期というのは、田舎に帰省する人も多いわけで、そうなると「わざわざ映画館に」という人は少なくなるということか、総じて新作として公開される作品は小粒なものが多い気もする。
『ランド・オブ・バッド』という作品もあまり目立つ作品とは言えないだろう。そんなわけで消去法的に選んだ作品ではあったのだけれど、ずっとハラハラドキドキの手に汗握る展開で、アクション映画として大満足と言えるような出来栄えになっていたと思う。
本作ではデルタフォースたちがCIAエージェントを救出する任務に当たる。精鋭の集まりであるデルタフォースたちと一緒に作戦に参加するのが、ほぼ実戦経験がない主人公キニー(リアム・ヘムズワース)だ。キニーの役割はJTAC(統合末端攻撃統制官)とも呼ばれている。これは地上からドローンに指示を出す役割だ。
『ドローン・オブ・ウォー』などでも無人戦闘機を使った「現代の戦争」というものが描かれていたけれど、本作はその最新バージョンということになる。『ドローン・オブ・ウォー』では、本作のようなJTACの役割をする人はいなかった。どういう経緯でJTACという役割が必要になったのかはわからないけれど、ドローンは上空からの映像だけで状況を把握するわけで、現地のすべてを確認できるわけではない。そのため誤爆してしまう可能性が避けられなかったということなのかもしれない。
JTACのキニーは実際の戦場にいて、地上から周囲の状況を把握する。そして、正確な座標をドローンの操縦士に送り、狙うべきターゲットの位置を指示することになる。それによって誤爆を防ぎ、的確に相手に対して打撃を与えることになるのだ。

©2025 JTAC Productions LLC. All Rights Reserved.
フィリピンとラスベガス
作戦の舞台となるのはフィリピンのスールー海にある島だ(実際の撮影現場はオーストラリアだとか)。主人公のキニーはそこにパラシュートで降下する。フィリピンの島は一面が緑に覆われたジャングルのような場所で、一方で“リーパー”(ラッセル・クロウ)と呼ばれているドローン操縦士はラスベガスの空調の効いた部屋で任務に当たっている。
一方は現地でジャングルの中をかけ回るわけだが、もう一方はモニターの前に座ってコーヒーを飲みながら任務に当たっているのだ。この対照的な姿が、「現代の戦争」らしい。
ただ、このドローン操縦士リーパーがキニーにとっては命綱のような役割を担うことになっていく。というのも、救出しようとしていたCIAエージェントが匿われている場所が、テロリストたちに襲撃されるという予想外の出来事があり、作戦は変更を余儀なくされたからだ。
デルタフォースの精鋭たちもテロリストたちのRPG(ロケットランチャー)にやられてしまい、新米のキニーだけがひとり取り残される形になる。そうなるとキニーの頼りは、無線を通してつながっているリーパーだけということになるのだ。

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撤退戦にも役に立つ
ドローンの基本的な役割は爆弾を落とすことになるけれど、キニーの撤退戦でもドローンからの映像が役に立つ。戦地で孤立してしまったキニーは、味方のヘリが降下できるところまで撤退しなければならない。そのためにはジャングルの中を敵に遭遇せずに逃げる必要がある。ドローンの映像は撤退戦の時にも効果的に利用されるのだ。
ドローン操縦士のリーパーは、戦場でビビッてしまって動けないキニーを、無線の向こう側から励ますことになる。実は二人は出身がオハイオという点で、一致していたのだ。地元の店の話など、何気ない会話をしつつキニーをリラックスさせ、彼を無事に帰還させようとするのだ。
キニーとリーパーのやり取りが、ハラハラドキドキの展開の中で少しだけホッとした時間を与えてくれることになる。リーパーと相棒である黒人女性とのやり取りも同様だろう。激しいアクションでも同じテンポが延々と続くとかえって単調になってしまうということもあるわけで、緩急の付け方もうまかったと思う。

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ハラハラを盛り上げる要素
ハラハラドキドキが続くのは、そういう状況をうまく作品の中で作り出しているからでもある。実は、ドローンには爆弾を無尽蔵に積めるわけではないため、爆弾を投下できる回数はかなり限定的になる。だから的確な攻撃を見極めなけばならないことになる。
さらには通信手段も常に万全というわけではない。戦場にいるキニーからすれば、リーパーとの通信が切断されれば、それは命綱を切られたとも同じことになる。それでも無線のバッテリーはそれほど続くものではないために、何度もキニーは孤立することになる。
それから戦場から遠く離れたラスベガスは、たとえキニーの命が危ないとしても、それとは別に勤務時間の規定があるらしい。リーパーとしてもここまでずっと見守ってきたキニーを見捨てるような要員の交替には反対するものの、そんなわけにはいかないらしい。一定時間を越えると、リーパーは席を追い出されることになってしまい、余計に不安定要素が増すことになるのだ。
最終的にはデルタフォースの一員が生き残っていたことが判明し、仲間を助けに最初の現場へと戻ることになる。この作戦では爆弾投下に時刻を設定し、そのリミットに合わせてキニーたちは動くことになる。ラストはそのリミットギリギリで仲間を助け出すという、定番のラスト・ミニッツ・レスキューを見せてくれる。
本作にはメッセージなどというものは皆無だし、リアルとはかけ離れている部分もあるのだろう。実際のラスベガスの兵士があんなに怠慢だとは思えないけれど、あれも作品を盛り上げるための要素ということだろう。それでもそんな設定があればこそ、ハラハラドキドキさせてくれたわけで、エンターテインメントとしては文句ない作品になっていたんじゃないかと思う。
エンドロール前のリーパーと相棒の黒人女性とのやり取りも良かった。冒頭から彼女からの打ち明け話が「前フリ」されていた。本作で描かれるようなリーパーの不器用だけれど信頼できる上司という姿があればこそ、彼女はリーパーに重要な頼み事をすることになったというわけだろう。『グラディエーター』の頃とは別人みたいな体型になったけれど、ラッセル・クロウがいい味を出している。
主演のリアム・ヘムズワースは、あの『マイティ・ソー』のクリス・ヘムズワースの弟とのこと。兄のクリスもデカいけれど、リアムのほうがもう少しだけデカいらしい。兄弟だけにやっぱり似ていて、リアムも二枚目だった。




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