日本映画

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『あのこは貴族』 寸止めの美学?

裕福な華子と庶民である美紀は普通なら出会うこともないふたり。それが華子の婚約者・幸一郎を介してふたりはつながることになる。格差社会を描く作品は多いけれど、本作は分断されるはずの富裕層と貧困層が連帯感を抱く話となっているのがおもしろいところ。
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『ターコイズの空の下で』 水平の世界と垂直の世界

柳楽優弥が主演を務めたロードムービー。日本で自堕落な生活をしていたタケシは、祖父・三郎の依頼で人探しをしにモンゴルへ行くことに。案内人のアムラと一緒にどこまでも広がる草原を旅することになるタケシだが、途中でアムラとはぐれてひとりになってしまう……。
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『あの頃。』 今が一番楽しいと言える?

バンド活動からアイドルオタク活動へと移行した劔(松坂桃李)。彼が退屈な日々の中で癒しを感じたのはアイドルたちの姿だったのだ。仲間たちと“中学10年生”と自称するほどにくだらない内輪談義に花を咲かせる日々が、劔にとってはかけがえのない時間だった。
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『すばらしき世界』 思いをつなぐリレー

人生のほとんどを刑務所で過ごした三上は、13年ぶりにカタギの世界で生きていくことを決意する。原作は実在の人物をモデルにした小説で、本作はそれをもとに西川美和監督が脚本を書いたフィクションだ。元ヤクザがカタギの世界で生きていくのは可能なのだろうか?
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『哀愁しんでれら』 子供は王様?

シンデレラは王子様と幸せに暮らしましたとさ。そんなふうに幸せの絶頂で終わることになる「シンデレラ」。しかし実際には人生は続くわけで、シンデレラは本当に幸せだったのか、その続きを見せてくれるのが本作ということになるだろう。
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『ヤクザと家族 The Family』 ヤクザに選択肢などないらしい

ヤクザ者として生きていくしかなかった山本賢治という男の姿を20年に渡って描く。ヤクザが肩で風を切って闊歩していた時代と違い、今ではヤクザは社会から排除され人として生きる権利すらない。そんな今の時代にヤクザ映画を作るとはどういうことか?
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『本気のしるし〈劇場版〉』 人間のわからなさ

『淵に立つ』 の 深田晃司が製作したテレビドラマの劇場版。 一路はたまたま命を救うことになった浮世という女性によって地獄を見る。浮世の突拍子もない行動に一路は翻弄され、それでいてなぜか関係を絶つこともできないのだが……。
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『私をくいとめて』 女性のリアルな感情?

『勝手にふるえてろ』の原作者と監督コンビが再び組んだ作品。 みつ子が「おひとりさま」をエンジョイできるのは、脳内の相談役Aの存在があるからだ。Aはいつも正しい答えを用意しているし、決して彼女を傷つけない。そんな生活が永遠に続くと思われていたのだが……。
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『アイヌモシㇼ』 熊送りを再現する

14歳のアイヌの少年カントは、バンドでボーカルを担当する今どきの若者だ。カントは集落から子熊の世話を任されるのだが、実はその子熊はイオマンテと呼ばれる儀式で殺される運命だった。それを知ったカントはアイヌの儀式そのものに反感を覚えるのだが……。
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『ホテルローヤル』 やさしさが仇に

ラブホテルを舞台にした群像劇だが、『さよなら歌舞伎町』がある1日の話だったのに対し、『ホテルローヤル』はそこが訳あって廃業するまでの長い時間が追われる。また、ラブホテルは非日常的な空間だが、本作においてはごく普通の人々の姿が描かれていく。
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『ビューティフルドリーマー』 みんなで映画をつくろう

タイトルからもわかる通り本作は、『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』が元ネタだ。かつて押井守監督が映画化した作品だが、原作者の怒りを買ったとも噂されている。本作はその元ネタを実写で寸分違わず再現しようとする映画研究会の面々の奮闘を描く。
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『おらおらでひとりいぐも』 自由でやりたい放題

75歳の桃子さんの日常を描く137分。さぞかし退屈な時間なのかと思うと裏切られる。桃子さんにはほかの人に見えない三人衆がついているからだ。三人は実は桃子さんの「寂しさ」だ。それが桃子さんの分身となり、脳内では賑やかな会話が繰り広げられる。