外国映画

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『聖なる泉の少女』 何を伝承しているのか?

東京国際映画祭でコンペティション部門にノミネートされたジョージア(グルジア)映画。舞台はジョージアの南西部の山深い村。そこには聖なる泉があり、それを守り続けている一家がいた。年老いた父がその儀礼を取り仕切っていたが、後継者となるはずのナーメ(マリスカ・ディアサミゼ)はもっと普通の生活がしたいと考えていた。
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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』 夢の世界の住人

クエンティン・タランティーノ監督の最新作。「10作撮ったら引退する」と宣言しているタランティーノにとっての9本目の作品。レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットが共演し、シャロン・テートが殺害された日について描く。1969年のハリウッドを再現し、タランティーノの映画愛があふれんばかりとなった作品。
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『やっぱり契約破棄していいですか!?』 ブラックな味わい!?

小説家を目指しているもののまったく芽が出ないウィリアム(アナイリン・バーナード)は、何度も自殺に失敗し最後の手段として自ら暗殺者を雇うことに。ところが暗殺の契約が成立した後になって出版社から連絡があり、「本を出版したい」旨の話が持ち上がる。
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『永遠に僕のもの』 天使は孤独に踊るもの?

冒頭、カルリートス(ロレンソ・フェロ)はたまたま見かけた家に何気なく入り込んで金目のものを物色する。まるで自分の家のようにくつろぎながら。そして音楽をかけながら踊り出すと、そこにタイトルの「EL ANGEL」が。つまりは彼は「天使」ということなのだが……。
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『ドッグマン』 リアル・ジャイアンをどう扱うか?

『ゴモラ』『リアリティー』などのマッテオ・ガローネ監督の最新作。のび太とジャイアンのような関係のマルチェロとシモーネ。暴力的で人のことを思い遣るなど考えたこともないリアル・ジャイアンに絡まれたとき、のび太のような人間はどう対処するのか? イタリアの寂れた海辺の町を舞台に描かれる現実の事件をモデルとした作品。
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『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』 新たなスターを発掘した作品

『君の名前で僕を呼んで』のティモシー・シャラメが主演を務めた2017年の作品。ドライブインシアターでは『T2』が上映されている、90年代のひと夏の物語。劇中の音楽にも懐かしい曲が揃っていて、二度と訪れないような輝くばかりの時間が過ぎていくのだが……。
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『ピータールー マンチェスターの悲劇』 主役不在の歴史劇?

『秘密と嘘』『家族の庭』などのマイク・リー監督の最新作。約200年前にイギリスで起きた「ピータールーの虐殺」として知られる民衆弾圧事件を描いた作品。「ピータールーの虐殺」における中心人物はヘンリー・ハントだが、本作では主役というほどの目立つわけでもない。それでは誰が主役なのかと言えば、民衆一人ひとりとも言えるのだ。
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『世界の涯ての鼓動』 生と死の距離を越えて

ダニー(アリシア・ヴィキャンデル)とジェームズ(ジェームズ・マカヴォイ)は、ノルマンディーの海辺のホテルで出会い、すぐに愛し合う。しかし、ダニーは生命誕生の秘密を探るために深海に赴き、ジェームズは諜報員としてソマリアへと向かう。それぞれが生と死の境界にありながら、ふたりは互いのことを想うのだが……。
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『あなたの名前を呼べたなら』 未亡人となったら終わり

根強く身分による差別が残るインドでのご主人様とメイドとの恋。ご主人様のアシュヴィンは夏目漱石が描いた高等遊民のようで、高層マンションにラトナというメイドと暮らしている。未亡人とはいえまだ若いラトナと一緒に暮らす姿は奇妙なものに思えるのだが、そもそも身分違いのふたりが過ちを犯すことなど周囲も考えたことすらないのだ。
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『存在のない子供たち』 その主張は至極もっとも

12歳という若さで親を訴えることになったゼイン。その罪状を裁判官から問われたゼインは「僕を産んだ罪」と答える。舞台となる中東のスラムでは子供たちも生きるために働かなくてはならない。同時にそこでは子供たちが人身売買で取引されている現実もある。そんな状況にゼインは「育てられないなら産むな」と声をあげることに……。
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『さらば愛しきアウトロー』 破滅型の主人公は時代遅れ?

実在の銀行強盗フォレスト・タッカーの物語。ロバート・レッドフォードの俳優としての引退作品でもある。本作は破滅型の主人公が登場する『俺たちに明日はない』のような作品群とは別のカッコよさを描いている。「楽に生きるなんてどうでもいい。楽しく生きたい」と語るタッカーという主人公は、最後まで自分のスタイルを貫き楽しんで生きた。
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『Girl/ガール』 このループから逃げ出したい

トランスジェンダーのララは一流のバレリーナになることを目指している。そして同時に性別適合手術のための治療も始めたところ。彼女にとってはどちらも決して諦めたくないことなのだ。しかしバレエをすることと性別適合手術を目指すことを両立させることは至難の業で、次第にララは追い詰められていくことに……。